- ✓ ニキビ跡は炎症後の色素沈着、赤み、凹凸など複数の種類があり、それぞれ原因が異なります。
- ✓ セルフケアでは限界がある場合が多く、専門的な美容医療が効果的な改善策となり得ます。
- ✓ 治療法の選択はニキビ跡の種類、肌質、予算によって異なり、医師との相談が重要です。
ニキビ跡は、ニキビによる皮膚の炎症が治癒した後に残る肌の変化の総称です。放置すると改善が難しい場合もあるため、適切な知識と対策が重要になります。ニキビ跡は、その見た目や原因によっていくつかの種類に分類され、それぞれに効果的な治療法が異なります。
ニキビ跡の種類と原因とは?

ニキビ跡の種類と原因を理解することは、適切な治療法を選ぶ上で非常に重要です。ニキビ跡は、炎症の程度や期間、個人の肌質によって多様な形で現れます。
ニキビ跡は、尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)と呼ばれる皮膚疾患、いわゆるニキビが治癒した後に残る皮膚の変化を指します。ニキビ跡の発生率は、ニキビ患者の約30%〜95%と報告されており、特に重症のニキビを経験した患者に高頻度で認められます[1]。当院では、初診時に「思春期の頃のニキビ跡がずっと残っていて気になる」と相談される患者さまも少なくありません。
ニキビ跡の主な種類
ニキビ跡は大きく分けて、「色素沈着」「赤み」「凹凸(クレーター)」の3つのタイプに分類されます。これらのタイプが複合的に現れることもあります。
- 炎症後色素沈着(PIH): ニキビによる炎症が治まった後に、メラニン色素が過剰に生成されて肌に残る茶色いシミのような跡です。特に色黒の方や、ニキビを潰してしまった場合に起こりやすいとされています。
- 炎症後紅斑(PIE): 炎症が治まった後も、毛細血管の拡張によって肌に赤みが残る状態です。特に色白の方に多く見られ、数ヶ月から数年かけて自然に薄くなることもありますが、完全に消えない場合もあります。
- 凹凸(クレーター): 重度の炎症性ニキビが真皮層にまでダメージを与え、皮膚組織が破壊された後にコラーゲンの修復が不完全なまま治癒することで生じる、肌表面の陥没や隆起です。これはニキビ跡の中でも最も治療が難しいとされています。
- クレーターの種類
- クレーターには、アイスピック型(深く小さい)、ボックスカー型(角ばった陥没)、ローリング型(なだらかな陥没)などがあり、それぞれ形状が異なります。これらの形状によって、適応となる治療法も変わってきます。
ニキビ跡ができる原因
ニキビ跡ができる主な原因は、ニキビによる皮膚の炎症です。炎症の程度が強く、真皮層にまで及ぶと、肌の組織が損傷し、その修復過程でニキビ跡が形成されます。
- 炎症の悪化: 炎症性ニキビ(赤ニキビ、黄ニキビ)が放置されたり、自己流で潰したりすることで、炎症が深部に広がり、組織破壊を引き起こしやすくなります。
- 不適切なスキンケア: 過度な洗顔や刺激の強い化粧品の使用は、肌のバリア機能を低下させ、炎症を悪化させる可能性があります。
- 体質・遺伝: ニキビ跡ができやすい体質や、皮膚の治癒能力には個人差があります。
- 紫外線: 紫外線は炎症後色素沈着を悪化させる要因となります。
臨床の現場では、ニキビを触る癖がある患者さまほど、炎症後色素沈着やクレーターが残りやすいケースをよく経験します。ニキビができたら、できるだけ触らないようにし、早めに適切なケアを行うことがニキビ跡予防の第一歩です。
ニキビ跡は一度できてしまうと完全に消すことは難しい場合が多く、特に凹凸のあるクレーターは自然治癒が期待できません。早期の適切な対応が重要です。
ニキビ跡のセルフケアでできることは?
ニキビ跡のセルフケアは、主に炎症後色素沈着や赤みの改善、そして新たなニキビの発生を防ぎニキビ跡を悪化させないことを目的とします。
セルフケアは、ニキビ跡の治療の基本であり、特に軽度の色素沈着や赤みに対しては一定の効果が期待できます。しかし、深いクレーター状のニキビ跡に対しては、セルフケアのみでの改善は難しいのが現状です。当院では、セルフケアで改善が見られない場合や、より早く効果を実感したい患者さまには、専門的な治療を検討することをお勧めしています。
色素沈着・赤み対策のスキンケア
炎症後色素沈着や赤みに対しては、肌のターンオーバーを促進し、メラニン排出を促す成分や、炎症を抑える成分を含むスキンケア製品が推奨されます。
- ビタミンC誘導体: メラニン生成を抑制し、抗酸化作用により炎症を鎮める効果が期待できます。化粧水や美容液に取り入れると良いでしょう。
- ハイドロキノン: 強力な美白作用を持つ成分で、色素沈着の改善に用いられます。ただし、刺激が強いため、医師の指導のもとで使用することが推奨されます。
- レチノール(ビタミンA): 肌のターンオーバーを促進し、コラーゲン生成をサポートする効果があります。濃度によっては刺激が強いため、低濃度から始めるのが一般的です。
- アゼライン酸: 海外ではニキビ治療薬として広く使われており、抗炎症作用や美白作用が期待できます。
- 紫外線対策: 紫外線は色素沈着を悪化させるだけでなく、新たな炎症を引き起こす可能性もあります。日焼け止めを毎日使用し、物理的な遮光も心がけましょう。
生活習慣の見直し
肌の健康は、日々の生活習慣に大きく左右されます。ニキビ跡の改善だけでなく、新たなニキビの予防のためにも、生活習慣の見直しは不可欠です。
- バランスの取れた食事: ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂取し、高GI食品や乳製品、加工食品の過剰摂取は控えることが推奨されます。
- 十分な睡眠: 睡眠不足は肌のターンオーバーを阻害し、肌荒れの原因となります。質の良い睡眠を7〜8時間確保するよう心がけましょう。
- ストレス管理: ストレスはホルモンバランスを乱し、ニキビを悪化させる可能性があります。適度な運動や趣味などでストレスを解消しましょう。
- 清潔な肌を保つ: 適切な洗顔で余分な皮脂や汚れを落とし、保湿をしっかり行うことで、肌のバリア機能を維持します。
| ニキビ跡の種類 | セルフケアの有効性 | 主なアプローチ |
|---|---|---|
| 炎症後色素沈着 | 比較的有効 | 美白成分(ビタミンC、ハイドロキノン)、紫外線対策 |
| 炎症後紅斑 | ある程度の効果 | 抗炎症成分、肌バリア機能の強化 |
| 凹凸(クレーター) | 限定的 | 肌のターンオーバー促進(レチノールなど)だが、根本改善は困難 |
セルフケアは長期的な視点で行うことが重要であり、即効性を期待しすぎるのは避けるべきです。実際の診療では、セルフケアだけでは改善しきれないと判断された患者さまには、美容医療の選択肢も提案しています。
ニキビ跡の美容医療(機器治療)にはどのようなものがある?

ニキビ跡の美容医療は、セルフケアでは改善が難しい色素沈着、赤み、特に凹凸(クレーター)に対して、より効果的なアプローチを提供します。
美容医療におけるニキビ跡治療は多岐にわたり、患者さまのニキビ跡の種類や深さ、肌質、ダウンタイムの許容度などを総合的に判断して最適な治療法を選択します。臨床の現場では、複数の治療法を組み合わせることで、より高い効果を目指すケースも少なくありません。例えば、クレーター治療と色素沈着治療を同時に行うことで、全体的な肌質の改善を実感される方が多いです。
色素沈着・赤みに対する治療
色素沈着や赤みは、レーザー治療や光治療、ケミカルピーリングなどで改善が期待できます。
- レーザートーニング: 低出力のレーザーを広範囲に照射することで、メラニン色素を徐々に破壊し、色素沈着を薄くします。肝斑治療にも用いられる安全性の高い治療法です。
- IPL(光治療): 複数の波長を含む光を照射し、メラニンやヘモグロビン(赤みの原因)に反応させることで、色素沈着や赤みを改善します。肌全体のトーンアップ効果も期待できます。
- ケミカルピーリング: サリチル酸やグリコール酸などの薬剤を肌に塗布し、古い角質を除去することで肌のターンオーバーを促進します。これにより、色素沈着の排出を促し、肌のキメを整える効果も期待できます[4]。
- イオン導入・エレクトロポレーション: ビタミンC誘導体やトラネキサム酸などの有効成分を、電気の力で肌の奥深くまで浸透させます。他の治療と併用することで、相乗効果が期待できます。
凹凸(クレーター)に対する治療
クレーター状のニキビ跡は、真皮層のコラーゲン組織の損傷が原因であるため、コラーゲン生成を促す治療が中心となります。
- フラクショナルレーザー: レーザーを点状に照射し、微細な穴を皮膚に開けることで、肌の自然治癒力を高め、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。CO2フラクショナルレーザーなどが代表的です。ヒト脂肪組織由来幹細胞エクソソームとフラクショナルCO2レーザーの併用治療は、ニキビ跡の改善に有効であることが報告されています[3]。
- ダーマペン/マイクロニードルRF: 極細の針で肌に微細な穴を開け、肌の再生能力を引き出す治療です。マイクロニードルRFは、さらに高周波(RF)エネルギーを肌の深部に届けることで、コラーゲン生成を強力に促進します。
- サブシジョン: 陥没したクレーターの下にある線維組織を、特殊な針で切断することで、皮膚の引きつれを解放し、クレーターを改善させる治療です。
- TCAピーリング(TCA CROSS): 高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)をクレーターの底部に塗布し、意図的に炎症を起こさせてコラーゲン生成を促す治療法です。特にアイスピック型のクレーターに効果が期待できます[4]。
- 注入治療(ヒアルロン酸など): 深いクレーターの底部にヒアルロン酸などの充填剤を注入し、物理的に陥没を埋める方法です。一時的な効果ですが、即効性があります。
実際の診療では、患者さまの肌の状態やライフスタイルに合わせて、これらの治療法を単独で行うこともあれば、複数回にわたる治療計画を立てたり、異なる治療法を組み合わせたりすることもあります。例えば、フラクショナルレーザーで肌の再生を促しつつ、色素沈着にはIPLを併用するといったアプローチです。ニキビ跡の治療は根気が必要ですが、適切な治療を継続することで、多くの方が肌質の改善を実感されています。
ニキビ跡治療の選び方と費用は?
ニキビ跡の治療法は多岐にわたるため、ご自身のニキビ跡の種類、肌質、ライフスタイル、予算などを考慮して、最適な方法を選択することが重要です。
ニキビ跡治療の選択は、患者さま一人ひとりの状況に合わせて慎重に行う必要があります。当院では、初診時に丁寧なカウンセリングを行い、ニキビ跡の種類を正確に診断した上で、複数の治療選択肢とそのメリット・デメリット、費用、ダウンタイムなどを詳しく説明しています。患者さまが納得して治療に進めるよう、十分な情報提供を心がけています。
治療法を選ぶ際のポイント
- ニキビ跡の種類: 色素沈着、赤み、凹凸(クレーター)によって適した治療法が異なります。複数の種類のニキビ跡が混在している場合は、複合的な治療が必要になることもあります。
- 肌質・肌の状態: 敏感肌の方や、現在ニキビが活動期にある場合は、刺激の少ない治療法から始めるなど、肌の状態に合わせた配慮が必要です。
- ダウンタイム: 治療によっては、赤み、腫れ、かさぶたなどのダウンタイムが生じます。仕事や日常生活への影響を考慮し、許容できる範囲のダウンタイムの治療を選ぶことが大切です。
- 費用: 美容医療は自由診療となるため、費用は全額自己負担です。治療内容や回数によって総額が大きく異なるため、事前にしっかりと確認し、予算に合った計画を立てましょう。
- 医療機関の選択: ニキビ跡治療の経験が豊富な医師が在籍し、適切な診断と丁寧なカウンセリングを行ってくれる医療機関を選ぶことが重要です。
ニキビ跡治療の費用目安
ニキビ跡治療の費用は、治療の種類、使用する機器、施術範囲、回数などによって大きく変動します。以下に一般的な費用目安を示しますが、あくまで参考としてご自身の状態や医療機関によって異なることをご理解ください。
| 治療法 | 1回あたりの費用目安(税込) | 推奨される回数 |
|---|---|---|
| レーザートーニング | 5,000円~20,000円 | 5~10回以上 |
| IPL(光治療) | 10,000円~30,000円 | 3~5回以上 |
| ケミカルピーリング | 5,000円~15,000円 | 5~10回以上 |
| フラクショナルレーザー | 20,000円~50,000円 | 3~5回以上 |
| ダーマペン/マイクロニードルRF | 20,000円~60,000円 | 3~5回以上 |
ニキビ跡治療は、1回の施術で劇的な効果が得られることは少なく、複数回の治療を継続することで徐々に改善していくのが一般的です。そのため、総額で数十万円かかることも珍しくありません。費用だけでなく、治療期間やダウンタイムも考慮した上で、長期的な視点で治療計画を立てることが成功の鍵となります。実際の診療では、治療を始めて数ヶ月ほどで「肌の凹凸が目立たなくなってきた」「化粧ノリが良くなった」とおっしゃる方が多いです。
まとめ

ニキビ跡は、炎症後色素沈着、赤み、凹凸(クレーター)の3つの主要な種類に分類され、それぞれ異なる原因と特徴を持っています。色素沈着や赤みはセルフケアや比較的穏やかな美容医療で改善が期待できる一方、クレーターは真皮層の損傷を伴うため、フラクショナルレーザーやダーマペンなどの専門的な機器治療が必要となることが多いです。
ニキビ跡治療は、ご自身のニキビ跡の種類、肌質、ダウンタイム、予算などを総合的に考慮し、医師と相談しながら最適な治療計画を立てることが重要です。複数の治療法を組み合わせることで、より効果的な改善を目指せる場合もあります。早期に適切な対策を講じ、根気強く治療を続けることで、肌質の改善が期待できます。
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- Lin Liu, Yuzhou Xue, Yangmei Chen et al.. Prevalence and risk factors of acne scars in patients with acne vulgaris.. Skin research and technology : official journal of International Society for Bioengineering and the Skin (ISBS) [and] International Society for Digital Imaging of Skin (ISDIS) [and] International Society for Skin Imaging (ISSI). 2023. PMID: 37357642. DOI: 10.1111/srt.13386
- Chingshubam Bikash, Rashmi Sarkar. Topical management of acne scars: The uncharted terrain.. Journal of cosmetic dermatology. 2023. PMID: 36606377. DOI: 10.1111/jocd.15584
- Hyuck Hoon Kwon, Steven Hoseong Yang, Joon Lee et al.. Combination Treatment with Human Adipose Tissue Stem Cell-derived Exosomes and Fractional CO2 Laser for Acne Scars: A 12-week Prospective, Double-blind, Randomized, Split-face Study.. Acta dermato-venereologica. 2021. PMID: 33073298. DOI: 10.2340/00015555-3666
- Georgios Kontochristopoulos, Eftychia Platsidaki. Chemical peels in active acne and acne scars.. Clinics in dermatology. 2017. PMID: 28274356. DOI: 10.1016/j.clindermatol.2016.10.011
- アルツディスポ(ヒアルロン)添付文書(JAPIC)
- ポンタール(カウンセリン)添付文書(JAPIC)
