- ✓ クレーター状ニキビ跡は、炎症が真皮にまで及ぶことで組織が破壊され、皮膚が陥没して生じます。
- ✓ 治療には、フラクショナルレーザー、ダーマペン、サブシジョンなど、様々なアプローチがあり、状態に合わせた選択が重要です。
- ✓ 複数の治療法を組み合わせることで、より効果的な改善が期待でき、専門医との相談が不可欠です。
クレーター状ニキビ跡は、ニキビの炎症が治まった後に皮膚の表面が陥没し、凹凸になって残る状態を指します。これは、ニキビが真皮(皮膚の深い層)にまで及び、組織が破壊されることで生じる瘢痕(はんこん)の一種です。一度できてしまうと自然治癒は難しく、見た目の問題だけでなく、精神的な負担となることも少なくありません。適切な治療法を選択するためには、まずその原因と種類を理解することが重要です。
クレーター状ニキビ跡とは?そのメカニズムと種類

クレーター状ニキビ跡は、ニキビの炎症が皮膚の深部にまで達し、真皮組織が損傷・破壊されることで発生する瘢痕です。皮膚の再生能力が追いつかず、コラーゲンやエラスチンといった皮膚の構造を支える成分が不足することで、表面が陥没して見えます。当院では、ニキビが重症化する前に適切な治療を行うことの重要性を患者さまに繰り返し説明しています。
クレーター状ニキビ跡ができる原因は何ですか?
クレーター状ニキビ跡の主な原因は、炎症を伴うニキビ(炎症性ニキビ)の重症化です。特に、赤ニキビや黄ニキビのように、アクネ菌が増殖して炎症が真皮層にまで及ぶと、周囲の組織が破壊されます。この破壊された組織が適切に修復されず、線維組織が過剰に形成されたり、逆に組織が欠損したりすることで、皮膚の表面に凹凸が生じます[3]。自己流でニキビを潰したり、不適切なスキンケアを続けたりすることも、炎症を悪化させ、跡が残りやすくなる原因となります。
クレーター状ニキビ跡の主な種類
クレーター状ニキビ跡には、その形状によっていくつかの種類があり、それぞれに適した治療法が異なります[4]。
- アイスピック型 (Icepick scars): 毛穴の開口部から深く、V字型に皮膚が陥没した跡です。直径は2mm以下と小さいですが、深さが特徴で、まるでアイスピックで刺したような見た目をしています。治療が最も難しいタイプの一つとされています。
- ボックスカー型 (Boxcar scars): 四角く、底が平らな陥没した跡です。直径は1.5mm〜4mm程度で、垂直に皮膚が落ち込んだような形状をしています。水痘(水ぼうそう)の跡に似ていることもあります。
- ローリング型 (Rolling scars): 緩やかな曲線を描いて皮膚が波打つように陥没した跡です。直径は4mm以上と比較的大きく、真皮と皮下組織の線維性結合が原因で生じます。皮膚を引っ張ると目立たなくなることがあります。
これらの種類を正確に診断し、患者さま一人ひとりの肌の状態やライフスタイルに合わせた治療計画を立てることが、当院の診療では非常に重要です。初診時には、ニキビ跡の種類だけでなく、肌質や過去の治療歴についても詳しく問診するようにしています。
クレーター状ニキビ跡の治療法にはどのようなものがありますか?
クレーター状ニキビ跡の治療は、その種類や深さ、患者さまの肌質によって最適な方法が異なります。単一の治療法で完全に改善することは難しく、複数の治療法を組み合わせる「コンビネーション治療」が効果的な場合も多いです。当院では、患者さまのニキビ跡の状態を詳細に診察し、個々に適した治療プランを提案しています。
レーザー治療
レーザー治療は、クレーター状ニキビ跡の改善に広く用いられている方法です。特にフラクショナルレーザーは、皮膚に微細な穴を開けることで、自然治癒力を高め、コラーゲンの生成を促進します。
- フラクショナルレーザー
- 皮膚に微細なレーザー光を照射し、点状に熱損傷を与えることで、周囲の正常な組織を残しながら、皮膚の再生を促す治療法です。アブレイティブ(蒸散型)とノンアブレイティブ(非蒸散型)の2種類があります。
- アブレイティブフラクショナルレーザー(CO2フラクショナルレーザーなど): 皮膚表面を蒸散させ、新しい皮膚の再生を促します。特にCO2フラクショナルレーザーは、アイスピック型やボックスカー型ニキビ跡の改善に効果が期待できます[1]。ダウンタイム(治療後の回復期間)が比較的長い傾向がありますが、その分効果も高いとされています。
- ノンアブレイティブフラクショナルレーザー: 皮膚表面を傷つけずに真皮層に熱を与え、コラーゲン生成を促進します。ダウンタイムが短く、比較的穏やかな効果が期待できます。
当院でフラクショナルレーザー治療を受けられた患者さまからは、数回の治療後には「肌の凹凸が以前より目立たなくなった」「化粧ノリが良くなった」といったお声をいただくことが多いです。特に、治療を始めて3ヶ月ほどで肌の質感の変化を実感される方が多い印象です。
ダーマペン・マイクロニードルRF
ダーマペンは、極細の針で皮膚に微細な穴を開け、肌の自然治癒力を利用してコラーゲンやエラスチンの生成を促す治療法です。ニキビ跡の凹凸改善だけでなく、肌全体のハリや弾力アップにも効果が期待できます。
- ダーマペン: 針の深さを調整できるため、ニキビ跡の深さに合わせて治療が可能です。治療と同時に成長因子や美容成分を導入することで、相乗効果も期待できます。
- マイクロニードルRF: ダーマペンのように微細な針で皮膚に穴を開け、同時に高周波(RF)エネルギーを真皮層に照射します。熱エネルギーによってコラーゲン生成を強力に促進し、より深いニキビ跡にも効果が期待できます。
「ダーマペンを受けてから肌のキメが整ったように感じる」と、初診時に相談される患者さまも少なくありません。当院では、治療後のダウンタイムを考慮し、患者さまのスケジュールに合わせた治療計画を提案しています。
サブシジョン
サブシジョンは、特にローリング型ニキビ跡のように、皮膚の表面が線維組織によって下に引っ張られている場合に有効な治療法です。特殊な針を皮膚の下に挿入し、真皮と皮下組織を癒着させている線維組織を物理的に切断することで、陥没した皮膚を持ち上げます。
この治療は、局所麻酔下で行われ、術後に内出血や腫れが生じることがありますが、効果的な改善が期待できます。実際の診療では、ローリング型ニキビ跡の患者さまに対して、他の治療と組み合わせてサブシジョンを提案することがあります。治療後の経過観察では、内出血の程度や、皮膚の持ち上がり具合を丁寧に確認するようにしています。
その他の治療法
- ケミカルピーリング: サリチル酸やグリコール酸などの薬剤を塗布し、古い角質を除去することで、肌のターンオーバーを促進します。浅いニキビ跡や肌の質感改善に効果が期待できます。
- TCAピーリング(TCA CROSS法): 高濃度のトリクロロ酢酸(TCA)をアイスピック型ニキビ跡の底に少量塗布し、ピンポイントでコラーゲン生成を促す治療法です。非常に深い跡に対して行われます。
- ヒアルロン酸注入: 陥没したニキビ跡の直下にヒアルロン酸を注入し、物理的に凹みを持ち上げる治療法です。即効性がありますが、効果は一時的であり、定期的な注入が必要です。
- 幹細胞培養上清液・エクソソーム治療: 幹細胞から分泌される成長因子やサイトカインを豊富に含む上清液やエクソソームを、ダーマペンやレーザー治療と併用することで、皮膚の再生能力を高めることが期待されています[2]。
これらの治療法は、単独で行われることもありますが、多くの場合、レーザー治療やダーマペンと組み合わせて、より高い効果を目指します。当院では、患者さまの肌の状態と希望を丁寧にヒアリングし、最適な組み合わせを提案することを心がけています。
クレーター状ニキビ跡治療の選び方と注意点は?

クレーター状ニキビ跡の治療法は多岐にわたるため、ご自身の状態に合った治療を選ぶことが重要です。誤った選択は、期待する効果が得られないだけでなく、肌に負担をかける可能性もあります。当院では、治療前のカウンセリングを特に重視しています。
治療法を選ぶ際のポイント
- ニキビ跡の種類と深さ: アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型など、ご自身のニキビ跡の種類によって適した治療法が異なります。深い跡にはより強力な治療が必要となることが多いです。
- ダウンタイムの許容範囲: レーザー治療やサブシジョンなど、一部の治療法では数日から数週間のダウンタイムが生じることがあります。仕事や日常生活への影響を考慮し、ご自身のライフスタイルに合った治療を選ぶことが大切です。
- 費用: 各治療法にはそれぞれ費用がかかります。保険適用外の自由診療となることがほとんどであるため、事前に費用を確認し、納得した上で治療を開始しましょう。
- 治療回数と期間: 多くの治療は1回で完結するものではなく、複数回の治療を継続することで効果を実感できます。長期的な視点での治療計画を立てる必要があります。
診察の中で、「どの治療法が一番効果がありますか?」と尋ねられることが多いですが、実際には患者さまの肌の状態や期待するゴールによって最適な治療は異なります。当院では、複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明することで、患者さま自身が納得して治療を選べるようにサポートしています。
治療を受ける上での注意点
ニキビ跡治療は、肌に刺激を与えるものが多いため、治療前後のスキンケアが非常に重要です。特に、紫外線対策と保湿は徹底してください。また、治療期間中は肌が敏感になるため、刺激の少ない化粧品を使用し、肌を擦るなどの行為は避けるようにしましょう。
- 専門医との相談: 自己判断で治療法を選ぶのではなく、皮膚科専門医や美容皮膚科医に相談し、正確な診断と適切な治療計画を立ててもらうことが最も重要です。
- 治療のリスクと副作用: どの治療法にも、赤み、腫れ、色素沈着、感染などのリスクや副作用が存在します。これらを十分に理解した上で治療に臨む必要があります。
- 治療後のケア: 治療効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためには、治療後の適切なスキンケアが不可欠です。医師の指示に従い、保湿や紫外線対策を徹底しましょう。
処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。患者さまの中には、治療後の赤みや腫れに不安を感じる方もいらっしゃいますが、適切なケアと経過観察でほとんどの場合が改善に向かいます。
クレーター状ニキビ跡の予防策は?
一度できてしまったクレーター状ニキビ跡の治療は時間と費用がかかるため、何よりも予防が重要です。ニキビが重症化する前に、適切なケアを行うことが肝心です。
ニキビの早期治療と適切なスキンケア
クレーター状ニキビ跡の最大の予防策は、ニキビが炎症を起こす前に、あるいは炎症が軽度のうちに適切に治療することです。当院では、ニキビの早期段階での受診を強く推奨しています。
- 皮膚科での早期治療: 市販薬で改善しないニキビや、炎症を伴うニキビは、早めに皮膚科を受診しましょう。保険診療で受けられる内服薬や外用薬で、ニキビの進行を抑えることができます。
- 正しい洗顔: 刺激の少ない洗顔料を使用し、優しく丁寧に洗顔することで、毛穴の詰まりを防ぎ、ニキビの発生を抑えます。
- 十分な保湿: 洗顔後は、化粧水や乳液でしっかりと保湿を行い、肌のバリア機能を保ちましょう。乾燥は肌のターンオーバーを乱し、ニキビを悪化させる原因となります。
- 紫外線対策: 紫外線はニキビの炎症を悪化させ、色素沈着やニキビ跡の治りを遅らせる原因となります。日焼け止めや帽子などで紫外線対策を徹底しましょう。
- ニキビを触らない・潰さない: ニキビを無理に触ったり潰したりすると、炎症が悪化し、クレーター状の跡が残りやすくなります。
当院では、ニキビ治療の初期段階から、将来的なニキビ跡のリスクについて患者さまに説明し、適切なスキンケア指導を行うことで、予防にも力を入れています。「もっと早く皮膚科に来ていれば良かった」とおっしゃる患者さまも多く、改めて早期受診の重要性を実感しています。
生活習慣の改善も重要ですか?
はい、クレーター状ニキビ跡の予防だけでなく、肌全体の健康を保つ上で生活習慣の改善は非常に重要です。
- バランスの取れた食事: ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂取し、糖質や脂質の過剰摂取は控えましょう。
- 十分な睡眠: 睡眠不足はホルモンバランスを乱し、肌のターンオーバーを阻害します。質の良い睡眠を7〜8時間確保するよう心がけましょう。
- ストレスの管理: ストレスはホルモンバランスに影響を与え、ニキビを悪化させる可能性があります。適度な運動や趣味などでストレスを解消しましょう。
これらの生活習慣は、ニキビの発生を抑え、結果的にクレーター状ニキビ跡のリスクを低減することにつながります。問診の際に患者さまの食生活や睡眠習慣についても伺うようにしており、必要に応じてアドバイスを提供しています。
クレーター状ニキビ跡治療の比較表

クレーター状ニキビ跡の治療法は多岐にわたりますが、ここでは主な治療法について比較を行います。あくまで一般的な傾向であり、個人の状態によって効果やダウンタイムは異なります。
| 治療法 | 主な対象跡 | 期待できる効果 | ダウンタイム | 治療回数(目安) |
|---|---|---|---|---|
| CO2フラクショナルレーザー | アイスピック型、ボックスカー型 | 皮膚の再生、コラーゲン生成促進 | 数日〜1週間程度(赤み、かさぶた) | 3〜5回以上 |
| ダーマペン | 全般(特にボックスカー型、ローリング型) | コラーゲン・エラスチン生成促進、肌質改善 | 2〜5日程度(赤み、腫れ) | 5回以上 |
| サブシジョン | ローリング型 | 線維切断による陥没改善 | 1週間程度(内出血、腫れ) | 1〜3回 |
| TCA CROSS法 | アイスピック型 | ピンポイントでのコラーゲン生成 | 数日〜1週間程度(かさぶた) | 3〜5回 |
| ヒアルロン酸注入 | 深いボックスカー型、ローリング型 | 物理的な凹み改善 | ほぼなし(軽度の赤み、腫れ) | 定期的な注入が必要 |
まとめ
クレーター状ニキビ跡は、ニキビの炎症が真皮にまで及ぶことで生じる、皮膚の陥没した瘢痕です。アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型など、その形状によって種類が異なり、それぞれに合わせた治療法が必要です。フラクショナルレーザーやダーマペン、サブシジョン、TCA CROSS法、ヒアルロン酸注入など、様々な治療選択肢があり、多くの場合、複数の治療を組み合わせることでより高い効果が期待できます。治療法を選ぶ際には、ニキビ跡の種類や深さ、ダウンタイムの許容範囲、費用などを考慮し、必ず皮膚科専門医と相談することが重要です。また、ニキビ跡の最大の予防策は、ニキビが重症化する前に適切な治療とスキンケアを行うことです。早期の受診と継続的なケアが、美しい肌を保つための鍵となります。
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東京オンラインクリニック(オンライン診療)はこちらよくある質問(FAQ)
- Yaqin Xu, Yunhua Deng. Ablative Fractional CO2 Laser for Facial Atrophic Acne Scars.. Facial plastic surgery : FPS. 2018. PMID: 29304516. DOI: 10.1055/s-0037-1606096
- Hyuck Hoon Kwon, Steven Hoseong Yang, Joon Lee et al.. Combination Treatment with Human Adipose Tissue Stem Cell-derived Exosomes and Fractional CO2 Laser for Acne Scars: A 12-week Prospective, Double-blind, Randomized, Split-face Study.. Acta dermato-venereologica. 2021. PMID: 33073298. DOI: 10.2340/00015555-3666
- Abdulhadi Jfri, Ali Alajmi, Mohammad Alazemi et al.. Acne Scars: An Update on Management.. Skin therapy letter. 2022. PMID: 36469561
- Emily Y Kim, Jasmine H Wong, Aamir Hussain et al.. Evidence-based management of cutaneous scarring in dermatology part 2: atrophic acne scarring.. Archives of dermatological research. 2023. PMID: 38059974. DOI: 10.1007/s00403-023-02737-9
- クラリチン(ローリン)添付文書(JAPIC)
