イボ(疣贅)の原因と治療法|専門医が解説
- ✓ イボのほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因で、種類によって症状や好発部位が異なります。
- ✓ 治療法はイボの種類や大きさ、部位、患者さんの年齢などに応じて選択され、液体窒素凍結療法が一般的です。
- ✓ 自己判断での処置は症状悪化や感染拡大のリスクがあるため、皮膚科専門医への相談が重要です。
イボ(疣贅)は、皮膚や粘膜にできる小さなできものの総称です。見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみを伴うこともあり、日常生活に影響を及ぼすことがあります。この記事では、イボの主な原因、種類、そして効果的な治療法について、エビデンスに基づいた情報を提供します。
イボの種類と原因とは?

イボのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染によって引き起こされます。このウイルスは皮膚の小さな傷から侵入し、表皮細胞に感染して増殖することで、皮膚が盛り上がった病変を形成します。HPVには100種類以上の型があり、感染するウイルスの型や部位によって、さまざまな種類のイボとして現れます[1]。
- ヒトパピローマウイルス(HPV)
- 皮膚や粘膜に感染するDNAウイルスの一種で、イボの原因となることが知られています。特定の型は子宮頸がんなどの悪性腫瘍の原因にもなりますが、皮膚にできる一般的なイボの原因となる型は良性であることがほとんどです。
当院の問診では、初診時に「足の裏に魚の目のようなものがあるが、なかなか治らない」「手や指にザラザラしたものができて増えてきた」と相談される患者さまが少なくありません。詳しく診察すると、実はイボであったというケースをよく経験します。患者さまの家族歴や、過去にイボの治療経験があるかどうかも詳しく伺うようにしています。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
最も一般的なイボで、手足、特に指や手の甲、足の裏によく見られます。表面がザラザラしていて、硬く盛り上がった形が特徴です。足の裏にできると、体重がかかることで内部に食い込み、魚の目と間違われることもあります[1]。HPVの2型、4型、27型、29型などが主な原因とされています。
- 好発部位: 手指、足底、膝など
- 特徴: 表面が粗く、硬く盛り上がる。足底では圧迫により内側に成長し、痛みを伴うことがある。
扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)
顔面、特に額や頬、手の甲によく見られる、平らでわずかに盛り上がったイボです。色は肌色からやや褐色を帯びていることが多く、数ミリ程度の小さなものが多発することがあります。HPVの3型、10型、28型、49型などが原因とされます。若い女性に多く見られ、かゆみを伴うこともあります。
- 好発部位: 顔面、手の甲、腕
- 特徴: 平らで滑らか、肌色または淡褐色。多発しやすい。
尖圭コンジローマ(せんけいこんじろーま)
性器や肛門周囲にできるイボで、性行為によって感染します。HPVの6型、11型が主な原因とされ、これらは悪性化のリスクが低いタイプです。しかし、一部のHPV型(16型、18型など)は子宮頸がんなどの原因となる高リスク型であり、注意が必要です[3]。見た目は鶏のとさか状やカリフラワー状で、軟らかいのが特徴です。
- 好発部位: 性器、肛門周囲
- 特徴: 鶏のとさか状、カリフラワー状。性感染症の一つ。
ミルメシア
足の裏にできる尋常性疣贅の一種で、中央部がへこんでいて、周囲が盛り上がっているのが特徴です。強い痛みを伴うことが多く、歩行に支障をきたすこともあります。HPVの1型が主な原因とされています[1]。
- 好発部位: 足底
- 特徴: 中央がへこみ、周囲が盛り上がる。強い痛みを伴うことが多い。
イボの感染経路は、主に接触感染です。小さな傷口からウイルスが侵入し、感染が成立します。特に、プールや公衆浴場、ジムなど、素足で歩く場所や共有する物品が多い場所では感染リスクが高まる可能性があります。また、自分のイボを触った手で他の部位を触ることで、自己接種による感染拡大(自家接種)も起こりえます。免疫力が低下している人や、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している人は、より感染しやすい傾向があると考えられています[4]。
イボの治療法と効果は?

イボの治療法は、イボの種類、大きさ、数、部位、患者さんの年齢や免疫状態などを考慮して選択されます。治療の目標は、イボを完全に除去し、再発をできるだけ防ぐことです。当院では、患者さまのライフスタイルや痛みの許容度も考慮し、最適な治療法を提案しています。
治療を始めて数ヶ月ほどで「イボが小さくなってきた」「痛みが和らいできた」とおっしゃる方が多いです。特に足底のイボで痛みを訴えていた患者さまが、治療によって歩行が楽になったと喜ばれることもあります。処方後のフォローアップでは、副作用の有無だけでなく、治療を継続できているか、効果の実感があるかを確認するようにしています。
液体窒素凍結療法
最も一般的に行われる治療法で、液体窒素を綿棒やスプレーでイボに当て、凍結と融解を繰り返すことでイボの組織を壊死させます。治療中はチクチクとした痛みや、治療後に水ぶくれや血豆ができることがありますが、通常は数日から1週間程度で治まります。数回から数十回の治療が必要となることが多く、根気強い通院が求められます[2]。当院では、特に小児の患者さまに対しては、痛みに配慮し、短時間で複数回に分けて治療を行うなどの工夫をしています。
サリチル酸外用薬
サリチル酸は角質を軟化・剥離させる作用があり、イボの表面を削り取るようにして除去する治療法です。市販薬としても利用できますが、皮膚科で処方される高濃度のものはより効果が期待できます。毎日継続して塗布することで、徐々にイボが小さくなっていきます。特に、広範囲にわたる扁平疣贅や、自宅での治療を希望される患者さまに提案することがあります。
電気焼灼術・レーザー治療
電気メスや炭酸ガスレーザーを用いて、イボの組織を焼き切る治療法です。比較的小さなイボや、液体窒素で効果が見られないイボに対して選択されることがあります。一度の治療で除去できる可能性が高いですが、局所麻酔が必要であり、治療後に傷跡が残るリスクも考慮する必要があります。特に顔面や露出部位のイボで、審美的な側面を重視する患者さまには、レーザー治療を検討することがあります。
免疫療法(内服薬・外用薬)
イボの原因であるHPVに対する体の免疫反応を活性化させることで、イボを排除する治療法です。具体的には、DPCP(ジフェンシプロン)などの感作療法や、イミキモドなどの免疫賦活作用のある外用薬が用いられます。これらの治療は、特に多発性のイボや、他の治療で効果が得られにくい場合に検討されます[3]。当院では、難治性のイボに対して、患者さまの免疫状態やアレルギー歴を慎重に評価した上で、これらの治療法を提案しています。
| 治療法 | 特徴 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|---|
| 液体窒素凍結療法 | 最も一般的、低温で組織を壊死 | 多くのイボに適用可、保険適用 | 痛み、水ぶくれ、複数回の治療が必要 |
| サリチル酸外用薬 | 角質を軟化・剥離 | 自宅で治療可能、痛みが少ない | 効果発現に時間がかかる、周囲の皮膚への刺激 |
| 電気焼灼術・レーザー治療 | イボを焼き切る | 一度で除去できる可能性、確実性が高い | 局所麻酔が必要、傷跡のリスク、費用 |
| 免疫療法 | 体の免疫を活性化 | 難治性イボに有効な場合がある | 治療期間が長い、皮膚炎などの副作用 |
イボは自然に治ることもありますが、放置すると増えたり大きくなったり、他人に感染させてしまう可能性もあります。また、自己判断で削ったり市販薬を使用したりすると、かえって症状が悪化したり、感染が拡大したりするリスクがあるため注意が必要です。特に、足の裏のイボは魚の目やタコと見分けがつきにくいことが多いため、専門医による正確な診断が重要です。
イボは放置すると増殖したり、周囲の人に感染させる可能性があります。また、自己判断での処置は症状を悪化させるリスクがあるため、疑わしい症状がある場合は早めに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
イボの予防策は?
イボの予防には、以下の点が挙げられます。
- 皮膚の清潔保持: 特に手足は清潔に保ち、乾燥を防ぎましょう。
- 傷の保護: 小さな傷でも絆創膏などで保護し、ウイルスが侵入するのを防ぎます。
- 公共の場所での注意: プールサイドや公衆浴場などでは、サンダルを履くなどして素足での接触を避けましょう。
- 自己接種の防止: 自分のイボをむやみに触ったり、引っ掻いたりしないようにしましょう。
- 免疫力の維持: バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を高めることが大切です。
まとめ

イボ(疣贅)は、主にヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって引き起こされる皮膚の良性腫瘍です。尋常性疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマなど、様々な種類があり、それぞれ好発部位や特徴が異なります。治療法としては、液体窒素凍結療法が最も一般的ですが、サリチル酸外用薬、電気焼灼術・レーザー治療、免疫療法など、イボの種類や状態、患者さんの希望に応じて多様な選択肢があります。自己判断での処置は症状悪化のリスクがあるため、イボが疑われる場合は皮膚科専門医の診察を受け、適切な診断と治療計画を立てることが重要です。早期の受診と継続的な治療により、イボの完治を目指し、再発を防ぐことが期待できます。
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- Dexter Jordan Witchey, Nichole Brianne Witchey, Michele Marie Roth-Kauffman et al.. Plantar Warts: Epidemiology, Pathophysiology, and Clinical Management.. The Journal of the American Osteopathic Association. 2019. PMID: 29379975. DOI: 10.7556/jaoa.2018.024
- Steven King-Fan Loo, William Yuk-Ming Tang. Warts (non-genital).. BMJ clinical evidence. 2018. PMID: 24921240
- Jianwei Yuan, Guoying Ni, Tianfang Wang et al.. Genital warts treatment: Beyond imiquimod.. Human vaccines & immunotherapeutics. 2019. PMID: 29505317. DOI: 10.1080/21645515.2018.1445947
- Sajjad Biglari, Atefeh Sohanforooshan Moghaddam, Mohammad Amin Tabatabaiefar et al.. Monogenic etiologies of persistent human papillomavirus infections: A comprehensive systematic review.. Genetics in medicine : official journal of the American College of Medical Genetics. 2024. PMID: 37978863. DOI: 10.1016/j.gim.2023.101028
