六君子湯

【六君子湯の効果と副作用】|皮膚科医が解説

最終更新日: 2026-04-25
📋 この記事のポイント
  • ✓ 六君子湯は胃腸の働きを改善し、食欲不振や胃もたれなどの症状に効果が期待できる漢方薬です。
  • ✓ 主な作用は胃排出能の改善、グレリン分泌促進、抗炎症作用などが挙げられます。
  • ✓ 重大な副作用は稀ですが、偽アルドステロン症やミオパチーに注意が必要です。
※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき作成されています。記事内には当院の治療・サービスに関する情報が含まれます。

六君子湯(リックンシトウ)とは?その特徴と適応疾患

六君子湯の生薬構成と効能、胃腸機能改善への働きを解説
六君子湯の生薬と効能
六君子湯とは、胃腸の機能低下による食欲不振、胃部膨満感、吐き気、嘔吐などの症状に用いられる漢方薬です。特に、胃が冷えて水分代謝が悪くなり、胃内に停滞する「水(すい)」が原因で起こる症状に適しているとされています。当院の皮膚科外来では、皮膚疾患の治療中に食欲不振を訴える患者さまや、体力の低下が見られる方に対して、全身状態の改善を目的として処方する機会も少なくありません。
六君子湯
人参、白朮(または蒼朮)、茯苓、半夏、陳皮、大棗、生姜、甘草の8種類の生薬から構成される漢方薬です。胃腸の機能を高め、消化吸収を助け、食欲を増進させる作用があります。特に、胃腸が弱く、冷えやすい体質の方に適しているとされています。

六君子湯の構成生薬とその役割とは?

六君子湯は、以下の8種類の生薬から構成されています[5]
  • 人参(にんじん):胃腸の機能を高め、体力を回復させる「補気」作用があります。
  • 白朮(びゃくじゅつ)または蒼朮(そうじゅつ):胃腸の働きを助け、体内の余分な水分を取り除く「健脾利湿」作用があります。
  • 茯苓(ぶくりょう):利尿作用があり、体内の水分バランスを整える「健脾利湿」作用があります。
  • 半夏(はんげ):吐き気を抑え、胃の停滞した水を取り除く「燥湿化痰」作用があります。
  • 陳皮(ちんぴ):気の巡りを良くし、胃の働きを整える「理気健脾」作用があります。
  • 大棗(たいそう):滋養強壮作用があり、他の生薬の働きを調和させます。
  • 生姜(しょうきょう):体を温め、吐き気を抑え、消化を助ける作用があります。
  • 甘草(かんぞう):胃腸の働きを助け、他の生薬の作用を調和させる「調和諸薬」作用があります。
これらの生薬が協力し合うことで、胃腸の機能を総合的に改善し、食欲不振や消化器症状の緩和に繋がると考えられています。

どのような症状に処方されるのか?

六君子湯は、主に以下のような症状や状態に用いられます[5]
  • 胃腸虚弱で食欲不振、胃部膨満感、悪心、嘔吐がある場合
  • 胃下垂や慢性胃炎による消化器症状
  • 術後の食欲不振や体力低下
  • がん治療中の食欲不振や悪心・嘔吐の軽減
  • 逆流性食道炎に伴う胃もたれや食欲不振
実際の診察では、患者さまから「最近食欲がなくて、何を食べても胃がもたれる」「体がだるくて、栄養が摂れていない気がする」と質問されることがよくあります。このような場合、六君子湯は胃腸の調子を整え、食欲を回復させることで、全身の倦怠感や体力の低下を改善する手助けとなります。

六君子湯の科学的根拠に基づく効果と作用機序

六君子湯は、伝統的な漢方薬でありながら、近年その効果について多くの科学的な研究が行われています。特に、胃腸機能の改善や食欲増進に関するメカニズムが解明されつつあります。

胃排出能の改善とグレリン分泌促進作用とは?

六君子湯の主要な作用の一つに、胃排出能の改善と食欲関連ホルモンであるグレリンの分泌促進作用が挙げられます。胃排出能とは、胃の内容物が十二指腸へ送り出される速度のことで、この機能が低下すると胃もたれや膨満感の原因となります。 複数の研究により、六君子湯が胃の運動を促進し、胃内容物の排出を早めることが示されています[1]。また、グレリンは胃から分泌されるホルモンで、食欲を増進させる作用があります。六君子湯はこのグレリンの分泌を促進することで、食欲不振の改善に寄与すると考えられています[3]。当院では、特に高齢の患者さまで食欲が低下している方や、抗がん剤治療などで食欲不振に悩む方に処方する際、このグレリン分泌促進作用について説明し、期待される効果を伝えています。

抗炎症作用や抗うつ作用も期待できる?

六君子湯は、胃腸機能の改善だけでなく、抗炎症作用や抗うつ作用も報告されています。炎症性サイトカインの産生を抑制したり、ストレスによる胃腸症状を緩和したりする可能性が示唆されています。これにより、慢性的な胃腸の不調や、ストレスが原因で食欲が落ちている患者さまにも効果が期待できる場合があります。
作用機序六君子湯の働き期待される効果
胃排出能改善胃の運動促進、内容物排出促進胃もたれ、膨満感の軽減
グレリン分泌促進食欲増進ホルモンの分泌増加食欲不振の改善、栄養状態の向上
抗炎症作用炎症性サイトカインの抑制胃炎症状の緩和
抗うつ作用ストレス関連症状の緩和心身の不調による食欲不振の改善
食道がんの術前化学療法を受けている患者さまを対象とした研究では、六君子湯が栄養状態の悪化や骨格筋量の減少を抑制する可能性も示唆されており、全身的な効果が期待されています[4]。このように、六君子湯は単に胃の症状を和らげるだけでなく、全身の栄養状態やQOL(生活の質)の改善にも寄与する可能性を秘めていると言えるでしょう[2]

六君子湯の正しい飲み方と注意点

六君子湯を服用する際の正しい用法用量と、副作用に関する注意点
六君子湯の服用方法と注意
六君子湯を安全かつ効果的に使用するためには、正しい用法・用量を守り、いくつかの注意点を理解しておくことが重要です。処方する際は、患者さまの体質や症状、他の服用薬などを考慮して、患者さまに合った用法を選択しています。

用法・用量は添付文書に準拠

六君子湯(ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用))の用法・用量は、添付文書に以下のように記載されています[5]。 通常、成人には1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与します。年齢、体重、症状により適宜増減されます。顆粒剤は水またはぬるま湯で服用するか、口中で溶かして服用します。食間とは、食事と食事の間で、食後2時間くらいを指します。
⚠️ 注意点

漢方薬は個人の体質や症状によって効果の現れ方が異なります。自己判断で用量を変更したり、服用を中止したりせず、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。

服用期間と効果の実感について

漢方薬は一般的に、西洋薬と比較して効果の発現に時間がかかることがあります。六君子湯も例外ではなく、効果を実感するまでには数週間から数ヶ月かかる場合があります。当院の外来で六君子湯を使用した経験では、胃もたれや食欲不振の症状が軽度であれば、数週間程度で効果を実感される方が多い印象です。しかし、慢性的な症状や体質改善を目指す場合は、より長期間の服用が必要となることもあります。診察の現場では、患者さまに「すぐに効果が出なくても、焦らず継続して服用することが大切です」と説明し、定期的な経過観察を通じて効果の評価と副作用のチェックを行っています。

服用が推奨されないケースや併用注意薬

六君子湯の服用が推奨されないケースや、注意が必要な併用薬があります[5]
  • アルドステロン症の患者さま:症状が悪化する可能性があります。
  • ミオパチーのある患者さま:症状が悪化する可能性があります。
  • 低カリウム血症の患者さま:症状が悪化する可能性があります。
  • 甘草を含む他の漢方薬との併用:偽アルドステロン症や低カリウム血症のリスクが高まるため、注意が必要です。
これらの情報は、処方時に医師が必ず確認する項目です。特に、他の医療機関で処方されている薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。漢方薬の飲み合わせは、西洋薬との飲み合わせと同様に重要な情報です。

六君子湯の副作用と対処法

どのような薬にも副作用のリスクは存在します。六君子湯も例外ではありません。副作用について正しく理解し、異変を感じた際には速やかに医療機関に相談することが大切です。

重大な副作用とその兆候

六君子湯で報告されている重大な副作用は、以下の通りです[5]
  • 偽アルドステロン症:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に進行する。尿量が減少したり、むくみが生じたりすることがあります。
  • ミオパチー:偽アルドステロン症と同様に、手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれることがあります。
これらの症状は、甘草の大量摂取により引き起こされる低カリウム血症が原因となることが多いです。非常に稀な副作用ではありますが、これらの兆候に気づいた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。皮膚科の日常診療では、患者さまの体調変化には常に注意を払い、特にむくみや筋肉の違和感がないか、定期的なフォローアップで確認するようにしています。

その他の副作用と対応

重大な副作用以外にも、以下のような副作用が報告されています[5]
  • 消化器症状:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、下痢、腹痛など。
  • 過敏症:発疹、蕁麻疹など。
これらの副作用は比較的軽度であることが多いですが、症状が続く場合や悪化する場合は、医師や薬剤師に相談してください。特に、六君子湯は胃腸の働きを整える薬ですが、体質によっては消化器症状が出ることもあります。当院では、服用開始後に「少し胃が重い気がする」「便が緩くなった」というフィードバックをいただくことがありますが、多くの場合、一時的なものであったり、服用量を調整することで改善が見られます。しかし、症状が改善しない場合は、他の漢方薬への切り替えも検討します。

六君子湯に関する患者さまからのご質問

六君子湯に関する患者からよくある質問と、専門家による回答
六君子湯のよくある質問
🩺 診察でよく聞かれる質問
Q. 六君子湯は食欲がない時に飲むと良いと聞きましたが、食欲がない時だけ飲めば良いですか?
A. 実際の処方では、食欲不振の症状が一時的なものではなく、慢性的に胃腸が弱っている患者さまに継続的な服用をおすすめすることが多いです。六君子湯は胃腸の根本的な機能を改善する目的で処方されることが多いため、症状がない時でも体質改善のために服用を続けることで、食欲不振の再発予防にも繋がると考えています。
Q. 胃薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. はい、多くの胃薬との併用は問題ありません。当院でも、逆流性食道炎などでプロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーを服用している患者さまに、胃もたれや食欲不振の改善目的で六君子湯を併用することはよくあります。ただし、必ず医師や薬剤師に現在服用中の薬を伝え、指示に従ってください。
Q. どのくらいで効果が出ますか?
A. 効果の実感には個人差がありますが、当院の経験では、食欲不振や胃もたれといった症状であれば、早い方で2週間程度、多くの方は1ヶ月〜2ヶ月ほどで何らかの変化を実感される方が多い印象です。体質改善を目指す場合は、さらに数ヶ月の継続が必要となることもあります。効果の現れ方には個人差が大きいと感じています。
Q. 妊娠中や授乳中に飲んでも大丈夫ですか?
A. 妊娠中や授乳中の服用については、安全性が確立されていないため、原則として医師に相談が必要です。当院では、妊娠中や授乳中の患者さまには、メリットとデメリットを慎重に検討し、必要最小限の期間と量で処方するか、他の治療法を検討します。必ず主治医にご相談ください。
Q. 長期間服用しても問題ありませんか?
A. 長期間の服用が必要な場合もありますが、その際は定期的な診察と血液検査で副作用(特に偽アルドステロン症や低カリウム血症)の有無をチェックすることが重要です。当院では、長期服用される患者さまには、3ヶ月〜半年に一度程度のペースで血液検査を行い、安全性を確認しています。
Q. 漢方薬は苦くて飲みにくいのですが、何か工夫はありますか?
A. 漢方薬特有の風味があり、飲みにくいと感じる方もいらっしゃいますね。当院では、少量の水で練って団子状にしてから飲む方法や、オブラートに包んで飲む方法をおすすめしています。また、温かいお茶や牛乳、ヨーグルトなどに混ぜて飲むと、風味が和らぎ飲みやすくなることがあります。ただし、混ぜるものによっては吸収に影響が出る可能性もあるため、薬剤師に相談することをお勧めします。

ジェネリック医薬品の有無と費用について

六君子湯には、ツムラ以外のメーカーからも同様の漢方エキス製剤が販売されています。これらは一般的にジェネリック医薬品(後発医薬品)として扱われ、費用を抑えることが可能です。

六君子湯のジェネリック医薬品とは?

漢方薬のジェネリック医薬品は、西洋薬とは異なり、「先発品」と「後発品」という厳密な区別ではなく、各メーカーが製造する「同一処方の漢方エキス製剤」として認識されています。ツムラが製造する「ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用)」は、医療機関で最も広く処方されている製品の一つですが、他にもクラシエ、コタロー、オースギなど、複数のメーカーから六君子湯の名称で販売されています。 これらの製品は、構成生薬の種類や配合比率は基本的に同じですが、製造方法や賦形剤(薬の形を整える成分)が異なる場合があります。そのため、味や溶けやすさ、効果の感じ方に個人差が生じる可能性もゼロではありません。当院では、患者さまの希望や薬局での取り扱い状況に応じて、ジェネリック医薬品の選択肢があることを説明し、検討していただくことがあります。

医療費負担を抑える選択肢

ジェネリック医薬品を選択することで、薬代の自己負担額を軽減できる可能性があります。特に、六君子湯のように長期間の服用が必要となるケースでは、ジェネリック医薬品の利用は経済的な負担を減らす上で有効な選択肢となります。例えば、同じ六君子湯でも、メーカーによって薬価が異なるため、ジェネリック医薬品を選ぶことで月々の薬代が数百円から数千円程度安くなることもあります。診察の際には、患者さまの経済的な状況も考慮し、「もし薬代が気になるようでしたら、ジェネリック医薬品の選択肢もありますよ」とお伝えするようにしています。ただし、最終的な選択は患者さまご自身の判断に委ねられます。

まとめ

六君子湯は、胃腸の機能を高め、食欲不振や胃もたれ、吐き気などの消化器症状を改善する漢方薬です。胃排出能の改善やグレリン分泌促進作用といった科学的根拠も明らかになっており、全身の栄養状態やQOL向上にも寄与する可能性があります。服用に際しては、正しい用法・用量を守り、重大な副作用である偽アルドステロン症やミオパチーの兆候に注意が必要です。ジェネリック医薬品の選択肢もあり、経済的な負担を軽減することも可能です。症状でお困りの際は、自己判断せずに医療機関にご相談ください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 六君子湯は保険適用になりますか?
A. はい、六君子湯は医師の処方箋があれば保険適用となります。そのため、医療費の自己負担割合に応じて費用を支払うことになります。
Q. 市販薬としても購入できますか?
A. 六君子湯は、医療用医薬品として医師の処方箋が必要なものと、一般用医薬品(市販薬)として薬局などで購入できるものがあります。市販薬は医療用と比べて配合量などが異なる場合があるため、購入の際は薬剤師に相談し、ご自身の症状に合ったものを選ぶようにしてください。
Q. 食前と食間、どちらに飲めば良いですか?
A. 添付文書では食前または食間と記載されています。一般的に漢方薬は空腹時に服用することで吸収が良くなるとされています。食前(食事の30分前くらい)か、食間(食後2時間くらい)のどちらか、ご自身のライフスタイルに合わせて飲みやすいタイミングで服用してください。医師や薬剤師から特別な指示がある場合は、それに従ってください。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長